Tree Of Life
『生命の樹』
と表現するのがぴったりな、命のみなぎる大木。
木の幹を囲むようにくるりと、きらきらした街ができあがり、周囲にはふわふわとした雲が浮かんでいる。
それを遠くから眺めている。
眺めているのは順番待ちをしている小さな丸いロボット。
そのロボットは子供みたいだが、もう何千年も自分の順番を待っている。
もういつから順番待ちをしているのすら忘れてしまったくらい、ずっと自分の順番を待ち続けている。
周囲には同じように順番待ちをしているロボットが、高くて丸いたんぽぽの綿毛のような家に暮らしている。
友達の女の子ロボットがいつもお世話をしてくれる。
いつか僕もあの樹の下にいけるかな?
長い年月がたって、
いつのまにか、
丸い小さなロボットは生命の樹の真下から上を見上げている。
遠い昔に、順番待ちをしていたことなんて忘れてしまって、
どこか記憶の片隅に行ってしまったみたいだ。
丸い小さなロボットは樹の根っこから、大きな樹を見上げていた。
寂しくもあり、どこか誇らしげでもある、そんな昔の思い出に浸っているかのように、
丸い小さなロボットはただじーっと、大きな樹を見上げている。